久しぶりに小説きちんと読んだけど面白かった。
東ドイツにピアノ留学中、主人公のマヤマがスランプになってしまうんだけど、その深い森から抜けたあとの表現がすごく好き。
僕らは必ず一度、ばらばらになる。そうしなければ見えないものを、一つずつ拾い上げて、再構成しなければならないのだ。その覚悟がなければ、ただ押しつぶされて消えるだけ。
話としてはずっと音楽に関してのスランプをいってるんだけど、結局はアイデンティティのことを言ってるんだと思う。
自分の音が見つからない=個性がない=無難=自分らしさがないと思っていたマヤマだけど、他の人からみたらちゃんと個性があって、それがマヤマらしさだった。
いろんな人と関わる中で自分の音=自分らしさを見つけたマヤマの成長にすごく心が震えた。
もちろん、人と関わってる中でそれを気付かされたきっかけはあったんだけど、最終的には自分の意思でピアノを弾き続け、その中でマヤマは嵐を抜けた感覚を持つ。
自分で自分の個性に気づくためには自分と自分で向き合わねばならない。
冷戦下、時代の波に翻弄されながらも自分らしく生きていくことの意味に気づいて、それぞれがそれぞれの意思で各々の道に進んでいく。
歴史小説としてもピアノ小説としても青春小説としても楽しめる作品でした。
作者の須賀しのぶさんはピアノをやったことがないらしいけど、ここまで音楽に精通していて、魅せる文章をかけるのが本当にすごい!
文章の表現も素敵だった。
というか、革命前夜よんだら自分って歴史ものが好きかもって気づくきっかけになった。
ベルサイユのばら
はいからさんが通る
あさきゆめみし
大奥
ゴールデンカムイ
などなど…よく考えたら歴史絡んでる漫画とか物語が好きみたい。
こうやって色々な物語に触れたり、人と話すことを通して自分を知っていくんだろうな。なにか対象がないと深く自分を知れないと思う。もっと小説よも。
私も自分の音みつけたいな〜